元TVアナ「シングルファーザー」になり知った現実 妻を病気で亡くした清水健さんが語る「難しさ」
清水さんがシングルファーザーになって見えた現実とは何だったのか。混乱の中にあった当時を振り返って今何を思うのか。
読売テレビの退社から7年たち、現在はフリーランスのアナウンサーとして働く清水さんが語ったこととは。
「周りの人に頼る」がこんなに難しいとは
キャスター時代に、シングルマザーの方を取材する機会はよくあったんです。
「頑張ってますね」なんてコメントしていたけど、いざ自分が同じ立場になって、現実を知りました。あの頃自分が思っていた以上に、みんな必死に踏ん張っていたんだなと。
子育てをしていると毎日やらなければいけないことがたくさんあるけれど、生活をするためには、もちろん働かなければいけない。どっちかを選ぶことなんてできないので、両立させなければいけない。
でも、その両立ってすごく難しいんですよね。どっちも100%なんてできっこないのに、つい「どちらもちゃんとやらなくちゃ」という呪縛にとらわれてしまう。
僕も同じでした。シングルファーザーになったからといって、自分のできるかもしれない100%を90%、80%になんてしたくない。
キャスターとしても100点、父親としても100点でいたい。そうでなければならない。
今なら「できるわけがない」って分かるんですけど、あの頃は、自分の理想を崩すことがどうしてもできなくて、無理に無理を重ねてしまっていました。
僕の場合は、母も姉も快く手を貸してくれましたし、職場の人たちも僕の置かれている状況を理解し、気を遣ってくれていました。きっと、恵まれているシングルファーザーだったと思います。
それでも「頼る」ことが本当に難しくて。
どんどん追い詰められて、日に日に痩せていく僕を見て心配した母が、手助けをしてくれるんですが、その優しさが「自分がちゃんとできていないこと」を突きつけられているようでつらさに追い打ちをかける。「ほっといてくれ!」と母親に当たってしまうこともありました。