元TVアナ「シングルファーザー」になり知った現実 妻を病気で亡くした清水健さんが語る「難しさ」

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僕がシングルファーザーのオンラインサロンを作ったのも、なかなか理解されにくい立場にあるシングルファーザーの人たちが、弱音を吐けずにがまんしている現実を知ったから。

「今日ちょっと疲れたな~」とポロっとこぼせる場所があるだけで救われる人って意外と多いと思うんです。僕の場合は、周りの人たちが僕の立場に理解を示して気を遣ってくれていたからこそ逆に、弱音を吐きづらくなってしまっていた。

僕と同じような人もいるかもしれないし、逆に自分の立場を理解してもらえるか分からない場所で弱音を吐くことにハードルを感じている人もいるかもしれない。いずれにせよ、弱音を吐くのはとても勇気がいることだと思います。

でもあの頃、「子どもの夜泣きで昨日全然寝られなくて……」とカメラの前で言えていたら、それがキャスターとしての正解かは分からないけれど、何かが違っていたかもしれない。

僕自身もきっと楽になれていたし、もしかしたらカメラの向こうで苦しんでいる人たちが弱音を吐くきっかけにできていたかもしれない。

誰もがこういった弱さを、100点満点でできないことを、勇気を出さずともさらけ出せる社会になるといいなと思うし、こうやって今僕が当時苦しかったことを話すことで、そんな社会に一歩近づくといいなと、心から思っています。

(写真:Woman type編集部)

ガス抜きしなきゃ、頑張れない

まだまだ日本社会では、育児と仕事の両立にさまざまなハードルがあるのが現実だと思います。そんな中でできない自分を責めてしまう人も多いかもしれません。

そんな人たちに伝えたいのは、「みんな頑張っている!本当に。そんな自分を認めてあげてほしい」ということ。

仕事でも育児でも100点満点を出すなんて、そもそも無理なんです。だからまず、自分を責めるのをやめてほしい。

そうは言っても、「できていない自分」に向けられる世間の目に、心がえぐられるような思いをすることもあるかもしれません。

でも「当事者」にならないと分からないことってあるから、100%理解してもらおうと思わなくてもいいんじゃないかと思います。

(写真:Woman type編集部)

僕自身もそれを実感することはよくあって。

例えば、息子とラーメン屋さんなどに立ち寄ると「今日はお母さんいないの? お父さんと二人、いいね!」なんて声を掛けていただくこともあるんだけど、息子には今日だけじゃなくてずっとお母さんがいないんですよね。

これは何てことない「日常の会話」であって、決してラーメン屋の店主さんに悪気はないわけで。僕たちみたいなマイノリティーな立場の人に、常にそこまで気をまわしてほしいと思っているわけでは決してない。

でも、言葉ひとつで、受け取り方って変わってしまう。当たり前が当たり前ではないことを知ってほしいなとは思います。

育児と仕事を両立する人はマイノリティーではないけれど、「当事者じゃないから、想像できない」人は少なからずいると思います。

だから、周囲の人たちから100%理解してもらえなくても、気兼ねなく弱音を吐けて、言いたいことを言える場所を見つけてほしい。

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