セブン「上げ底疑惑」で思い出す"最強のコンビニ" 徹底的にファンに向き合う「セコマ」の凄さ

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セイコーマートから学べることは多い

『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』は「グレイトフル・デッドは当時活躍していたすべてのほかのロックバンドと正反対のやり方で利益をあげた」として、次のように書く。

『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』書影
『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社新書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「成功したビジネスは、グレイトフル・デッドのようにそれぞれの業界の常識をひっくり返すことで、自分たちに有利な競争の場を作った。常識とみなされているやり方を拒否することでライバルと差別化し、顧客に対しても利益を与えることができるようになったのだ」

セイコーマートが行うことは、まさにこれかもしれない。大手コンビニが常識的に行ってきたことに対して、正反対のやり方を取る。

ドミナント戦略を行わないのもそうだし、PBを自社工場で作ることもそうだ。また、コンビニ各社が基本的に全国均一な店舗を展開しているのに対し、セイコーマートはそれぞれの店舗によってかなり売り場の構成が異なる。強固な自社物流を作り上げてきたのも特色だ。

例えば、外国人観光客が多く集まることでお馴染みのニセコ・ひらふ地区にあるセイコーマートでは、1万4000円のシャンパンが売られている。もともとセイコーマートは酒屋を祖業としていたこともあってワインの取り扱いが多いのだが、ニセコでは外国人観光客のためにそうした品揃えを拡充している。

陳列された高いシャンパン
ニセコ・ひらふのセイコーマート。高いシャンパンがゴロゴロ(筆者撮影)

このような「常識と反対の取り組み」によって、まさに「北海道ローカル」という「自分たちに有利な競争の場」を作ったのがセイコーマートだろう。そうした地域の人々に徹底して訴求するやり方は、コンビニ数が天井に達した現在、きわめて時代に即したものになりつつある。

セブンの騒動に始まり、既存のコンビニのあり方が問われている現在、セイコーマートの躍進から学べることは多いのかもしれない。

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