第1次トランプ政権(2017~2020年)の時期はどうだったか。
連邦予算の歳出は、大規模な削減はしていないが、対GDP比で約20%(コロナ禍を除く)を維持しており、歳出を拡大することはしていなかった。コロナ前だと、4兆ドル強であった。
他方、連邦法人税率の引き下げを含む減税を行ったため、連邦政府の財政赤字は、その前のオバマ政権(2009~2016年)の後半よりも拡大した。
コロナ禍で後を襲ったバイデン政権(2021~2024年)では、当初はコロナ対策で多くの歳出を要したが、コロナ禍が終わっても依然として歳出規模は対GDP比で24%を超えている。
もちろん、第1次トランプ政権期にはなかったロシアによるウクライナ侵攻やイスラエル・パレスチナ紛争のための国防費がかさんでいることはあるが、社会保障費が引き続き増えたままとなっており、連邦政府の財政赤字は、第1次トランプ政権期よりも悪化している。
政権交代すると前政権の歳出を削減
歳出総額の傾向については今述べた通りだが、その間には政権交代がある。
欧米諸国では、政権交代があると、前政権では出していた歳出を見直して、不要なものは容赦なく削減することが日常茶飯事である。浮動票はあるとはいえ、それぞれの政党の支持基盤には利害得失があり、前政権の支持基盤にとって好都合の歳出であっても、新政権の支持基盤にとって何のメリットもない歳出であれば、遠慮なく削減するし、容易にそれができる。
2024年度の歳出総額が6.9兆ドルで、第1次トランプ政権期のコロナ前の2019年度の歳出総額4.4兆ドルと比べると、2.5兆ドルほど多い状態である。国防費を除いた歳出でみても、2019年度は3.8兆ドルで、2024年度は6兆ドルである。マスク氏が言及した2兆ドル削減は、まんざらデタラメではないかもしれない。
翻って、日本はどうだろうか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら