10月27日に衆議院選挙が行われたが、ほとんどすべての政党が、歳出を増やすと声高に主張した。「歳出を増やす」といっさい言わずに「無駄があるからもっと削減できる」と主張した政党は皆無といってよい。また、負担軽減を主張するとともに歳出削減も主張する政党も皆無といってよい。
日本の政党は、減税を唱えても、それと同規模の歳出削減には言及しない。あるいは、歳出増と合わせて負担増に言及することもない。
他方、アメリカでは、歳出を増やす提案を出す傾向は民主党のほうが強いが、連邦政府の債務上限規定を盾に共和党が牽制するという場面がしばしばある。共和党にとっては、債務残高がむやみに増えることは認めがたいことだからでもある。
これをみると、どちらの国のほうが、民主主義の危機に直面しているのか、他人事とはいえないだろう。
日本の民主主義の危機は財政基盤
確かに、民主主義の意思決定過程の正当性について揺らぐことについて、日本ではその懸念はないがアメリカではある。しかし、民主主義の礎となる財政基盤について揺らぐことについて、アメリカには懸念がないが日本にはある。
政権交代に慣れていない日本では、与党は八方美人的にどの有権者にも歳出増や負担減を振りまいて支持を集めようとしたがる。それは、民主党政権も、第2次以降の安倍晋三内閣の後でもそうである。そのような姿勢では、歳出は膨張する一方だし、それに見合うだけの税収を確保することもままならない。
衆議院で自民党と公明党だけで過半数を確保できない政治状況になっただけに、その懸念はますます高まっている。
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