ドイツがよもやの財政危機、財源やりくりに「NO」 緊縮財政を強いられ、マイナス成長が続く恐れ
「予算の目的外使用」に翌年度繰り越しーーどこかの国でも聞いた話だが、ドイツでは裁判所が違憲判決を下し、激震が走っている。
質実剛健で規律を重んじるドイツがよもやの財政危機に見舞われている。きっかけは11月15日、ドイツの憲法裁判所が政府の予算調整措置に違憲判決を下したことだった。
ドイツは2009年に、リーマンショック後の財政赤字の拡大を受け、基本法(憲法に相当)で連邦政府と州政府の財政収支の均衡化を義務付けた(これを「債務ブレーキ」と呼ぶ)。パンデミック危機対応財源の転用が違憲とされ、2024年連邦予算でこの分の支出を組み入れると「債務ブレーキ」に抵触しかねず、財政緊縮を避けられない情勢にある。
寄り合い所帯の連立政権、支出拡大の必然
ショルツ首相が率いる連立政権は、福祉予算の拡充を目指す中道左派の「社会民主党(SPD)」、気候変動対策を最優先課題に据える環境政党「緑の党」、親ビジネスで財政規律を重視するリベラル政党「自由民主党(FDP)」の3党の寄り合い所帯だ。
債務ブレーキを遵守しつつ、連立与党間の異なる優先課題に取り組むためにショルツ政権が編み出した手法が、パンデミック危機対応で準備した財政資金枠の未利用分600億ユーロを気候変動基金(KTF)の財源に転用する2021年の予算調整措置だった。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら