
(写真:アフロ)
ドイツが数十年ぶりに再軍備を進めている。2月の総選挙でそれぞれ連邦議会の第1党と第3党となったキリスト教民主同盟(CDU)と社会民主党(SPD)は新政権樹立に向けた連立協議の中で、国内総生産(GDP)比で1%を超える国防費については、憲法で財政赤字に上限をはめている「債務ブレーキ」の適用外とすることに合意。緑の党の賛成票を得て議会を通過した同改正案は、ドイツ財政政策の転換点となるもので、経路依存性となって今後の動きを束縛することになる。
気候対策は「二の次」に降格
経済の観点からすれば、CDU、SPD、緑の党が行っているのは軍事ケインズ主義への長期的なコミットだ。次期政権がどのような形になろうとも、ドローン、銃、戦車への支出を増やすためなら際限なく借金を財源に使うことが可能となる。これは、財政赤字を激しく嫌悪する政治文化が長く続いてきたドイツにおいては空前ともいえる出来事だ。そうした政治文化の中でドイツ連邦議会は2009年に、構造的な財政赤字を16年からGDPの0.35%未満に抑える債務ブレーキを導入した。
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