パブリック 開かれたネットの価値を最大化せよ ジェフ・ジャービス著/小林弘人監修・解説/関 美和訳 ~大公開時代の新しいフロンティア
大公開時代の新しいフロンティアが、インターネットによって広がりつつあるという。それを、ネットの世界でオピニオンリーダーとされる著者がパブリックネス(第一義は情報・思考・行動をシェアする行為または状態)という新語を用いて鮮やかに分析してみせる。
パブリックネスにはオープン化が付きものだ。プライベートなもの、あるいはプライバシーとどう区分するか、が問題として付いて回る。フロンティアを広げるうえで力となっているソーシャルメディア革命は、発信者の自ら選ぶパブリックネスが特徴になっている。しかも、その発信内容は「パブリックであることが価値を生みだす」という。
プライバシーとの区別ではドイツの事例で、国、文化で程度の差があることが示される。グーグルのストリートビューを「画像による多角的攻撃」であると、ドイツのある大臣が非難したのを取り上げ、米国人と比較する。ドイツ人には「知識を共有する文化がない」、彼らは「あらゆる知識は他人よりも優位に立つために自分だけでもっておくのが一番だ」とする識者の意見も示す。この状況は、日本の企業や経営者に対しても示唆的だ。