銀行「最後の砦」をも食う、異業種"黒船"の潜在力 「いいとこ取り」や「ポイント経済圏」武器に攻勢

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

高井:次に楽天です。彼らもすでに金融でけっこうな存在感があります。銀行も持っていますし、証券もNISAが追い風になって口座数が増えています。しかもポイントといえば楽天。これは相当手ごわい?

田島:そうですね。やはり最大の強みは「経済圏」です。楽天のサービスを使えばどんどんポイントが貯まっていく。囲い込み戦略という点では秀でていると感じます。

高井:そして次がNTTドコモ。通信会社というのは、恐ろしいほどキャッシュ生成能力があるんですよね。

田島:今やみんなスマホを持っている時代なので。中には複数台持っている人もいて、そういう意味では非常に重要なインフラとして顧客を囲い込んでいるプレーヤーといえます。

高井:ドコモの場合は、証券会社(マネックス証券)が傘下にありますが、銀行は今のところ持っていないですね。

田島:はい。ただ、数カ月前に(ドコモの)トップが、銀行に参入するという意思表明をしています。自分たちでゼロからつくるのか、それともどこかのネット銀行を買収するのか、その場合相手先はどこになるかというあたりまで、金融業界では非常に注目が高まっています。

銀行にとって「最後の砦」を奪いに来る

高井:最後がPayPayです。これがいちばん新しい黒船ですね。

田島:とくに同社の強みは決済にあります。最近は「PayPay給与受取」なるものを打ち出していますが、これって銀行にとっては最後の砦ともいえる領域で、そこまで奪いに来るとなると非常に脅威だと思います。

高井:私も新入社員の時に作った銀行口座をいまだにメインで使っていますが、それってまさに給与振込口座として設定したからで、もはや変えるのが面倒だからです(笑)。

田島:そうですよね。給与口座ってなかなか変えないので、縛られる。

高井:ここは”突くべき穴”としてとても重要だと思いました。ただPayPayは、JR東、楽天、ドコモに比べると、まだ「銀行」と結び付けてイメージする人が少ないんじゃないかと思いますが。

田島:ほかのプレーヤーと違ってフルバンキング、つまり全部の金融サービスを持っておこうという戦略ではなく、あくまで決済を中心に考えている部分があるためだと思います。

動画では、週刊東洋経済「銀行 大波乱」特集の内容を基に、「迎え撃つメガバンクのリテール戦略は?」「銀行を揺るがすリスク要因はほかにも」「新時代に浮上する銀行員のスキル問題」などについても解説しています。
制作:鈴木研一郎
田島 靖久 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たじま やすひさ / Yasuhisa Tajima

週刊東洋経済副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件取材を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社、週刊東洋経済副編集長、報道部長を経て23年4月から現職。

この著者の記事一覧はこちら
高井 宏章 経済コラムニスト / YouTuber

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たかい ひろあき / hiroaki takai

1972年生まれ、名古屋出身。1995年、日経新聞入社。マーケット、資産運用などを長く担当。2016年からロンドンに2年駐在し、2020年から退職まで編集委員を務めた。日経在籍時は電子版やYouTubeの「教えて高井さん」の動画解説で親しまれ、キャスターとして「日経ニュースプラス9」にも出演。「高井浩章」名義で出版した『おカネの教室』は10万部超のロングセラーに。Twitter、noteで経済にとどまらず、書評や教育論など幅広い情報を発信している。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事