(第29回)製造工程なき製造業、日本は方向付け不定

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同社の資本金は約313億円で、従業員数が連結で4628人、単独で1136人だ(11年9月末現在)。自動車の場合で言えば、小糸製作所などが含まれるレベル2の企業に相当する。ただし、トヨタ自動車の場合に見たような系列企業ではない。そして、部品でなく、製品そのものを作っている。

船井電機の例で分かるように、OEM企業は相手先ブランドによって販売を行い、自らは電子機器の設計と量産に特化する。受託生産専業ではなく、自らのブランドで販売することもある。電気機器以外に、ビールや自動車でも、OEM生産が行われている。

半導体LSIのファウンドリでは、台湾積体電路製造(TSMC:世界最大手)、聯華電子(UMC:世界2位)などがよく知られている。

日本の製造業はファブレス化できるか?

以上で見たように、OEMややEMS、ファウンドリを用いることによって、製造業の業務をデザイン、設計、製造、宣伝、販売に分解することが可能になる。

アメリカ企業は、製造工程以外に集中するビジネスモデルに、明確に方針を定めている。典型がアップルだ。製造工程に低賃金労働を用い、そうして作った製品を高所得国に売れば、利益が出るのは当然と言える。

アメリカの製造業が昔からそうだったわけではない。スティーブン・キングの小説には、電卓の工場で働いていたが、台湾企業との競争に敗れて工場が閉鎖され、失業した主人公が出てくる。

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