春山:そうですね。人間と自然をどうつなげられるかと考えたときに、その手段としてのゲームはありだと思いますし、むしろ可能性も感じています。
もしかしたら、それがきっかけで私のようにゲームを手放す子どももいるかもしれない。また、仮想空間ではなく現実社会において、自分の力でゲーム性を立ち上げるほうが既存のゲームよりも面白いと思う人も出てくるかもしれませんね。
自分が起点となって動くことの面白さ
窪田:春山さんが起業したときのお話にもつながるとも感じました。ゲームの世界はある種他人任せ。自分が動く、つまり自分でビジネスを立ち上げることで見える景色を変えることができますよね。私も自分が動く楽しさを子どもの頃に知ることができたので、過去にアメリカで起業をし、現在も創薬ベンチャー企業を経営しています。
春山:社会にインパクトを与える手法が変わってきましたよね。私が尊敬する写真家の星野道夫さんや登山家の植村直己さんは、厳しい自然の中で身体で表現行為をする文字通りの冒険家であり、その姿勢で社会にインパクトを与えていました。ですが、今の人類は、昔ながらの冒険や探検を求めていないといいますか……。
窪田:世界最高峰のエベレストに植村さんが日本人として初登頂してから、半世紀以上が経ちました。これまでに延べ1万人以上がエベレストに登頂したともいわれています。時代は変わりましたよね。
今でも、宇宙に行ったり、潜水艦で海底に潜ったりといった冒険的行動をする人はもちろんいます。ですが、どちらかというと、資金に余裕がある人による「テクノロジーを使ったお楽しみ」という要素が強いように感じてしまいます。
春山:そうですね、昔の「冒険」が今は成り立たなくなってきています。私は、21世紀の最大の冒険はベンチャービジネスだと思っています。仲間とチームを組み事業を通じて社会にインパクトを与えることが何よりの冒険ではないでしょうか。
眼科医である先生が、医療の専門家としての地位に安住することなく、ビジネスを実装して業界や業種を変えようとされていることは素晴らしいことだと思います。近視は病気であるというメッセージを社会に広めることでインパクトを出されていますね。
窪田:ありがとうございます。私も自分を眼科医兼冒険家と言ってみたいですね(笑)。
春山:起業家の私たちは、今はマイノリティかもしれません。ですが、5~10年後には起業という選択や生き方はもっと主流になっていく。むしろ主流になる社会にしていきたいです。
(構成:石原聖子)
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