NGではない、ゲームやスマホとの新しい関係性 自然と子どもの身体を繋げるゲームの可能性とは

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窪田:自然は、人工的なものではないため、当たり前ですが、再現性がありません。つまり、二度と同じ現象には出会えない。空の色も雲の形も、山肌の印象も、気象条件などによって大きく変化しますし、「同じ瞬間」が絶対に存在しませんよね。20歳の頃の春山さんはその魅力に気づいてしまったのですね。

春山:そうですね、たとえ同じ山に登っても、登った人一人ひとりその山に対する印象がまったく違います。登山に関して何より素晴らしいのは、登る人が山に対して抱く印象もバラバラでよければ、登るルートもスピードも自由でいいという点です。何も否定されない。すべて自分で決めていい。そこが、ルールが前提となるゲームとは根底から違うと感じました。

窪田:自分がフルコントロールできる楽しさに目覚めたのですね。

春山:はい、そのほうが断然楽しいですし、人間として豊かだと気づきました。

ルールのない世界の楽しさ

窪田:ルールのない世界の楽しさは、子どもたちにも気づいてもらいたいですね。

春山:そうですね。とはいえ、私がゲームを完全には否定しないもう一つの理由があります。テレビやスマホの画面にゲーム性を立ち上げるのはあまりいいとは思っていませんが、「これなら」というのがありまして……。

窪田良
窪田良/慶応義塾大学医学部卒業。慶応大医学部客員教授、米NASA HRP研究代表者、米シンクタンクNBR理事などを歴任。虎の門病院勤務を経て米ワシントン大学助教授。2002年創薬ベンチャー・アキュセラを創業。2016年窪田製薬ホールディングスを設立し、本社を日本に移転。アキュセラを完全子会社とし、東証マザーズに再上場。「エミクススタト塩酸塩」においてスターガルト病および糖尿病網膜症への適応を目指し、米FDAからの研究費を獲得し研究開発を進めているほか、在宅医療モニタリングデバイスや、ウェアラブル近視デバイスの研究開発を行っている(撮影:梅谷秀司)

窪田:ぜひお聞かせください。

春山:現実世界にゲーム性を立ち上げるものはありかと。例えば「ポケモンGO」や「ドラゴンクエストウォーク」。自分たちが歩くことによってアイテムを得ることができたりモンスターに出会えたりする。これならゲームを通じて、自分を取り巻く世界が広げ豊かにすることが可能です。

窪田:なるほど。閉鎖的な空間に閉じこもってゲームに勤しむのはオススメできないが、身体性を伴うゲームなら「自分が動くことで見える景色が変わる」ことを体感するきっかけなる可能性があるということですね。それは屋外に出て太陽光を浴びられるという点でも、眼科医として賛同します。

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