"異色"オーディション「ノノガ」に感じる新しい波 プロデューサー「ちゃんみな」の姿勢に共感続出

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つまり、いまオーディションは、単なる競争ではなく、本当の自分らしくありたいという人たちが「ここ」だと言える居場所を見つけるためのものになりつつある。

近年のオーディションが再チャレンジの場になりつつあるのも、そのひとつの表れだろう。『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』などでもその傾向はあったが、それは『No No Girls』も同じ。奇しくも『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』挑戦組からも3人が参加している。

「音楽が好き」で結ばれた仲間として

とにかく、ここまで選ぶ側と選ばれる側とのあいだに上下関係、分け隔てが感じられないオーディションも珍しい。それは、ちゃんみなと候補者たちが、「音楽が好き」という一点で結ばれる仲間でもあるからだ。

オーディションの審査中、「何かを好きって言えることって、現代では宝のようなこと」とちゃんみなが語り出した場面があった。「何が好きかわからない人っていま山ほどいる」。だから、そのなかで「音楽が好きと純粋に言える」ことの素晴らしさを表現に込めてほしい、と。

3次審査の結果を発表した回でも、ちゃんみなは、30人それぞれに合否を伝えるだけでなく、候補者全員の正直な思いを聞き、一人ひとりに真情あふれるメッセージを送っていた。

オーディションの様子
3次審査では全員に評価と結果が告げられたが、ちゃんみなとSKY-HIの言葉にはリスペクトと感謝の思いがあふれていた(画像:【No No Girls】/YouTubeチャンネル「BMSG」より)

こういう場面をここまでじっくり時間をかけて見せてくれるオーディションもほとんど記憶にない。デビューするまで19回オーディションを受け、18回落ちたというちゃんみなだからこそできることなのだろう。

そんなちゃんみなが、最終的にどのようなガールズグループをつくるのか? これまで見たことのないようなガールズグループが果たして誕生するのか? 期待しつつ見届けたい。

【画像】自然体で審査にあたるSKY-HIとちゃんみなの様子も話題に『No No Girls』のオーディションの様子(5枚)
太田 省一 社会学者、文筆家

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おおた しょういち / Shoichi Ota

東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本社会の関係が研究および著述のメインテーマ。現在は社会学およびメディア論の視点からテレビ番組の歴史、お笑い、アイドル、音楽番組、ドラマなどについて執筆活動を続ける。

著書に『刑事ドラマ名作講義』(星海社新書)、『「笑っていいとも!」とその時代』(集英社新書)、『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)、『水谷豊論』『平成テレビジョン・スタディーズ』(いずれも青土社)、『テレビ社会ニッポン』(せりか書房)、『中居正広という生き方』『木村拓哉という生き方』(いずれも青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩書房)など。

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