ネスレ日本はあえてコンビニを重視しない 高岡社長はセブンからの打診も断った

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たかおか・こうぞう●1960年生まれ。83年神戸大学経営学部卒業、ネスレ日本入社。2005年に菓子事業を手がけるネスレコンフェクショナリー(後にネスレ日本と統合)社長に就任。10年より現職(撮影:尾形文繁)

――だが、販路ごとに見るとコンビニ向けの商品が弱い。

僕が社長になって(2010年に就任)からは、コンビニの売り上げを極力減らすように言っている。世の中の流れと逆行するが、それはいいこと。セブンやローソン、ファミリーマートと組んですごい利益率が高いなら、喜んでやる。ただ、「ネスカフェ」をコンビニで買う人はほとんどいない。無理に売ろうとしたら、かえって利益を損なうことになる。だから身を引いている。

――ドラッグストアなどディスカウンター店舗への営業を”禁止”している狙いは。

やっても仕事がないから。スーパーの場合、特売の提案など営業活動が必要だが、ディスカウンターは積みっぱなし。だから、1年に2回くらい本部で商談すればいい。そこに店舗営業はいらない。業界全体、やっていることがおかしい。ウチがまともなだけ。

ネット販売2割の目標も達成可能

20年前と比べたら小売りに占めるディスカウンターの割合が増えている。だから、それに”合わせて”営業の数を減らした。私が社長に就任した当時、営業は600人くらいいたが、今では400人に減った。100人は(オフィスコーヒーマシン事業の)「ネスカフェアンバサダー」に移し、あと100人は退職者を補充しなかった。

――売上高に占めるネット販売の比率が1割と高い。ほかの食品メーカーには見られない特徴だが。

はじめはアマゾンさんのようなEC専業小売りの中でシェアを先にとる戦略だった。ただ、日本は毎日スーパーに行く習慣があるので、ECが諸外国ほど伸びてない。そこで独自のビジネスモデルをつくって伸ばそうと考えた。それがネスカフェアンバサダー(注:職場での利用を前提に、コーヒーマシンを無料で貸し出すサービス。ネスレ日本は、主にネット販売でマシン専用のコーヒーパックを販売している)

同じものをアマゾンとイオンで違う値段で売ったら問題になるが、独自のビジネスモデル(を通してネット販売を広げる戦略)であれば文句は言われない。2020年にEC比率2割という目標は、このまま行けば達成可能だ。

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