TOB阻止完全対策マニュアル 伊藤歩著
会社法の施行から6年が経ち改正作業が進み、中間試案が公表された。企業不祥事が相次ぎ発覚したことから、社外取締役の選任義務化などに注目が集中しているが、著者は、個人株主を軽視した「キャッシュアウト=スクイーズアウトの大罪」こそが問題だと指摘する。
近年の株安局面でTOB(株式公開買い付け)によって証券市場から離脱する企業が後を絶たず、その結果、100万人の株主が何も知らぬまま、「言い値」で株を取り上げられた。これは、自分の所有物が意思に反して奪い取られることを合法とする現行会社法の欠陥であるのに対して、進行中の法改正では、取締役会の承認や株主併合で「居残り株主」を追い出せる方向にさえ進みそうだという。
株式投資はもちろん自己責任だが、「売却の価格や時期を見ず知らずの他人に勝手に決められてしまう」ことを問題視し、安易なTOBに豊富な事例と精緻な分析によって警鐘を鳴らす。
財界展望新社 1890円
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら