なぜ年を取ると「しょうゆをドバドバ」かけるのか 高血圧になると腎臓にも負担がかかってしまう
腎臓病の患者さんが増えているのは、日本だけの話ではありません。これは推計値ですが、患者数は世界で8億5000万人にのぼると国際腎臓学会が2018年に発表しています。その数は、なんと糖尿病の2倍、がんの20倍以上に相当しています。糖尿病やがんよりも腎臓病にかかっている人のほうが多いなんて、ちょっと意外ですよね。
海外のメディアは「腎臓病は"隠れた流行病"」と報じていました。もちろん、腎臓病はほかの人に感染しないのですが、患者数が爆発的に増える様子は感染症と似ているといえるのかもしれません。
また、腎臓はダメージを受けても「痛い」「気持ちが悪い」などの身体的な症状がほとんど表れることがない、じつに我慢強い「沈黙の臓器」です。ですから、機能が低下しても気がつかないようなケースは決して珍しくありません。そのため、「サイレントディジーズ(静かなる病気)」と表現されることもあります。
さらに、慢性腎臓病の患者さんについては、心疾患や脳血管疾患で亡くなる場合が非常に多いのです。言いかえると、死因は心疾患や脳血管疾患になっていても、本当の原因は慢性腎臓病の悪化だった可能性があるということです。
心不全患者の71.2%が慢性腎臓病(CKD)を合併しているというデータも報告されています。そう考えると、国際腎臓学会が発表している数字よりもはるかに患者数が多い可能性もあるでしょう。
下のグラフを見てもわかるとおり、近年、腎不全は日本人の死因の1.9%にしかすぎません。しかし、心疾患や脳血管疾患の陰に隠れているのが腎臓病であることも考えられるので、腎臓病が原因で亡くなる方の割合はデータ以上であることも考えられます。
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「便利な社会」が招いた腎臓病患者の増加
それにしても、どうして腎臓病の患者さんの数はここまで増えてしまったのでしょうか。「こんなに社会が便利になって、医学も進歩しているのに」と、不思議に思いますよね。
じつは、「便利な社会」に落とし穴があるのです。
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