しかし、そんな言葉とは裏腹に、上質な紙、筆、墨などを与えてくれたという。ぶつぶつ言いながらも、娘のアイデアにつきあう道長が何ともおかしい。
道長は「憎めないけど面倒なオジサン」
そうかと思えば、式部がいない間に、道長は勝手に部屋に入り、式部が冊子づくりのために実家から持ってきていた『源氏物語』の原稿をもっていき、次女の妍子に全部あげてしまうという、暴挙に出ている。
感情表現が豊かで、行動が読めない。道長は、親戚に1人はいそうな「憎めないけど面倒なオジサン」といったタイプだったのかもしれない。そして、そんな道長は、奥ゆかしいようで行動が突飛な紫式部と、意外と馬が合ったのではないだろうか。
【参考文献】
山本利達校注『新潮日本古典集成〈新装版〉 紫式部日記 紫式部集』(新潮社)
『藤原道長「御堂関白記」全現代語訳』(倉本一宏訳、講談社学術文庫)
『藤原行成「権記」全現代語訳』(倉本一宏訳、講談社学術文庫)
倉本一宏編『現代語訳 小右記』(吉川弘文館)
今井源衛『紫式部』(吉川弘文館)
倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社現代新書)
関幸彦『藤原道長と紫式部 「貴族道」と「女房」の平安王朝』 (朝日新書)
真山知幸『偉人名言迷言事典』(笠間書院)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら