こうして政権党の政治家たちは助けられています。無党派や、投票されない、カウントされない声はそのまま、今の世界を黙認しているものとして扱えるありがたい信任投票になるからです。
かつて支持率が消費税率と見間違うほど低くなった不人気総理大臣は、選挙中の会見で愚痴をこぼし「(選挙に関心のない無党派層は)寝てしまってくれればいい」と実に正直なことを漏らしてしまいました。でも、これは現在政治権力を運用している人たちの本音です。
現行の選挙の不思議なルール
元総理大臣はいい人だから本当のことを言ってしまったのです。政治における意思表明は、常に相対的比率として数値化されてしまいます。議会の議席を6割近くも取っている政党が、実は20%程度の人たちの支持でも政権党になりうるというのが、現行の選挙の不思議なルールです。
そこでは、あくまでも「声を上げた人たち」(投票者)のパーセントで勝負を決めますから、「黙っていた人」抜きでのゲームとなります。100人中99人が棄権すれば、たった1票のイエスだけで多数決は可能になります。非情なる鉄則はこのように巧妙な形で、真面目でピュアな怒りでゲームを抜けた人々を利用しているのです。
それでも自分の選挙区には投票したい人が1人もいないと困っている方もいるでしょう。
その気持ちもよくわかります(今の私がそうですから)。だから「心の底から政治を託したいと思っている人じゃないのに投票なんてするのは不誠実じゃないですか?」なんて私に文句を言う人もいます。
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