
フランスの裁判所は2025年3月、極右政党「国民連合(RN)」が欧州連合の公金を横領した罪で、同党を率いるマリーヌ・ルペンの被選挙権を5年間停止した。判決に異を唱えているのはルペンとその支持者だけではない。27年の大統領選挙に出ることをルペンに許し有権者に判断を委ねたほうがよいとする声は、リベラル陣営からも上がっている。だが、政治を法に優先させるこのような議論にはとてつもない欠陥がある。
そうした議論には、欧州の政治エリートは国民を信用していないとする、米副大統領J・D・バンスの主張と重なるものもある。
しかし、フランスの司法が政治家の命令で動いている、あるいはルペンいびりをしているという証拠はどこにもない。元首相フランソワ・フィヨン(ルペンと同じく大統領選挙の有力候補だったことがある)のような本流の政治家たちも公金横領で有罪判決を受けている。ニコラ・サルコジのような大統領経験者ですら汚職で実刑判決を言い渡されているのだ。これらの裁判ではルペンは決まって厳罰を求めていたくせに、今では身勝手に「国民こそが最高裁だ」と考えるようになっている。
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