メディアも評論家も言論人も、「日本の有権者は政治への関心が低い」とか、「かように悪政が続いているのに有権者は寛容を通り越して市民の義務を放棄する無責任な人々である」と非難し、時には世界で一番人の心を閉ざさせる「劣化した日本の有権者は民度が低い」などの軽蔑の言葉すら投げかけます。
支持政党なしと答える人が増える理由
とりわけ自称リベラルの、本当は不寛容な政治関心の高い層の人々は、「なおも与党に投票する人々がいるとは、もう救いようがない」などと嘆息をついて、それでいて正論めいたことだけを言って、「このままでよいとは思えないけど」と心がザワザワしている人たちに疎まれて、民主政治の仲間をつくることに失敗し続けています(拙著『なぜリベラルは敗け続けるののか』集英社インターナショナル、2019年)。
政権党への文句は百万も口にしますが、やることは悪口や批判をすることばかりで、苦しい中で自ら汗をかいて野党を育てる努力と工夫をしている人たちは、本当に一部しかいません。正しかろうことは口にしますが、「そんなやり方で人の心が開くはずがない」みたいな選挙応援をし続けているのです。
雨が降ろうと槍が降ろうと、在野勢力に投票するという「固定客」の方には、適宜お声がけだけしていれば大丈夫です。いつもの定番の与党批判と少数派の擁護と平和への想いを語れば、安心してくれるからです。
しかし、それでは投票に行かない人たちを仲間にすることはできません。与党の支持率がどれだけ下がろうと、彼らを脅かす野党の支持率は上がりません。支持政党なしと答える人が増えるだけです。
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