(第28回)雇用が減少したのは零細企業と超大企業

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企業規模で違う海外進出時期

以上で見た過程は、製造業の海外移転と密接に関連している可能性が強い。考えられるのは、次のような図式だ。

大企業は、新興国との競合が激しくなったため、生産を海外に移して国内の雇用を減らした。大企業に部品を供給するメーカー(特にレベル3、4の企業)は、国内で生産を続ける。04年ごろ以降の円安の期間には、大企業が輸出を伸ばし、国内への部品発注も増えたので、生産活動が活発化した。しかし、この恩恵はレベル5の企業までは届かず、新興国からの輸入品との競合で受注が減少し、生産活動が縮小した。

これを確かめるために、企業規模ごとの海外進出の状況を見よう。前回、海外進出企業の比率は、企業規模によって大きな差があることを見た。進出時点も、企業規模によって大きな差がある。大企業(資本金10億円超の企業)では、97年において、すでに775の企業が海外進出していた。それが00年に798になり、09年に1111になった。97年から09年までの増加率は43%、00~09までの増加率は39%である。

中堅、中小企業の動きは、かなり違う。中堅企業(資本金3億円超10億円以下)では、進出企業数は97年には323あったが、00年には169まで減少した。それが09年に404まで増加した。00年から09年の間に2・4倍になったわけだ。つまり、00年以降の増加が顕著である。中小企業(資本金3億円以下)も同様の傾向を示している。97年から00年までは348から388に増えたにすぎないが、09年には1255と、00年の3・2倍になった。

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