(第27回)今後海外進出するのは従来より小規模な企業

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(第27回)今後海外進出するのは従来より小規模な企業

ここ数年の円高が、日本の製造業の海外移転を促進している。原子力発電から火力発電へのシフトに伴って電気料金の引き上げが予想されることも、この傾向を加速させるだろう。この問題を、これまで数回にわたって述べてきた製造業の階層構造や系列構造との関係で見てみよう。これまで、トヨタ自動車の系列企業を例に取って、企業を次のようにレベル分けしてきた。

「レベル1」は、トヨタ自動車という超巨大企業とその連結対象企業である。つまり、「広義のトヨタ自動車」だ。

「レベル2」は、トヨタ自動車が直接に保有する系列会社である。デンソー、アイシン精機、小糸製作所など、よく名の知られた大企業が含まれている。

「レベル3」は、レベル2企業の系列会社である。アイシン精機は、150社以上のグループ会社を保有している。このレベルでは、非上場会社が多くなる。ここまでの企業の大部分は大企業である。

「レベル4」は、資本金が3億円以下、従業員数20~300人程度の中小企業だ。大企業が株主の場合も多いが、同族会社も多数ある。

「レベル5」は、「小規模企業者」である。一般には、零細企業、町工場などと呼ばれている個人事業で、従業員は20人以下だ。

経済産業省の「海外事業活動基本調査」における製造業の海外移転状況と、「工業統計調査」による規模別企業数を突き合わせると、図のような結果が得られる(なお、「海外事業活動基本調査」と「工業統計調査」は、共に全数調査だが、回答率が異なる〈前者は74・3%、後者は約94%〉ため、実際の海外進出比率とは差がある可能性がある)。


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