(第26回)発展可能性を持つ独立した零細企業

(第26回)発展可能性を持つ独立した零細企業

前回述べた「レベル4」は、従業員数20~300人程度の中小企業だ(製造業の場合)。これより小規模の企業を「レベル5」と呼ぶことにしよう。

中小企業基本法の呼び方では「小規模企業者」である。一般には、零細企業、町工場などと呼ばれる。実態は個人事業である。具体的なイメージとしては、映画『男はつらいよ』に出てくる「朝日印刷」を想像したらよいかもしれない。寅さんは、「やあ労働者諸君、今日も貧乏たらしく働いているか」と言うのだが、後で述べるように、レベル4や5の企業の中には、人工衛星の打ち上げに成功したところもある。

したがって、統計データの平均値では実態を捉えにくいところもあるが、まずは統計を見よう。経済産業省の「工業統計表」によれば、製造業で従業員数4~19名の事業所は全国で16・5万あり、従業員数は141万人だ。製造業全体に対する比率は、事業所数で70%、従業員数で18・3%、出荷額で7・1%である。

表の左3欄には、従業員1人当たりの数値を示す。まず注目されるのは、1人当たりの現金給与が小規模になるほど顕著に低下することだ。4~9人では281万円で、1000人以上の636万円に比べると44%でしかない。10~19人の326万円になって、やっと50%を超える。寅さんの言葉は、いまでも平均値としては正しいわけだ。

賃金が低いのは、生産性が低いからである。4~9人事業所の1人当たり出荷額は、1000人以上の17・2%でしかなく、1人当たり付加価値は35・4%でしかない。こうした生産性格差は、零細企業の資本装備率が低いためか、あるいは大企業が零細企業から搾取しているためか、このデータだけからは分からない。


政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 財新
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • フランスから日本を語る
トレンドライブラリーAD
人気の動画
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
日本人が知らない「ビタミンD」不足の怖さ
日本人が知らない「ビタミンD」不足の怖さ
「上司の品格」を疑われる、やってはいけない7つの質問
「上司の品格」を疑われる、やってはいけない7つの質問
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
SDGsが迫る企業変革<br>ビジネスと人権

サプライチェーンの中で起きる人権侵害への意識が高まっています。欧米では法制化が着実に進展し、企業に対し人権リスクの把握と対策を求める動きが顕著に。欧米に比べて出遅れている日本企業の現状を多角的に検証します。

東洋経済education×ICT