欧米Z世代に広がる「ガラケー」ブームは来るか? デジタルデトックスを求めレトロ端末が注目

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これら2つのガラケーのベースとなったNokia 2660 Flipも、実は2007年にノキアが販売した「Nokia 2660」の復刻モデルだ。iPhone登場以前は世界中(ただし日本・韓国・アメリカを除く)で圧倒的なシェアを誇っていたノキア、そのノキアの過去のケータイの復刻版をHMDは毎年リリースしてきた。とはいえ、それは「過去の名機のリバイバル」に過ぎず、懐かしさを求めるユーザー向けの製品だった。そんな製品が、今ではZ世代に人気のモデルのベースになるとは、HMDも想像していなかっただろう。

世界一退屈なケータイThe Boring Phone(筆者撮影)

デジタルデトックスに最適

The Boring Phoneには「スポーツ」と「タクシー」というアプリが入っている。前者を起動すると「試合はうまくいっているから友人との会話に戻ろう」と表示される。タクシーアプリは「誰かにタクシー会社へ電話して呼んでもらおう」と表示されるだけだ。ジョークアプリともいえるこれらの機能は、日々SNSの通知に追われる現代社会の中でデジタルデトックスを求めるユーザーを意識したものだ。ハイネケンとしてはビールを飲む楽しい時間をSNSやスマートフォンに邪魔されたくないことから、たいくつなケータイを企画したと思われる。

バービーフォンも基本機能はThe Boring Phoneと同等だ。コミュニケーションが必要なら通話とショートメッセージがあるので最低限のことはできる。SNSに振り回されていた時間を趣味に充てたり、大事な人との楽しい食事に集中できる。生まれた時からデジタルが当たり前のZ世代にとって、外観もレトロで低機能なガラケーをあえて使うことがカッコいいことでもあるわけだ。

とはいえ「ガラケーしか使わない」と頭を固くする必要もない。今の時代、格安製品や中古のスマートフォンもいくらでも販売されている。ファッションとしてのバービーフォンと、最低限のSNSや地図検索など用に安いスマートフォンをもう1台持つという使い分けが現実的かもしれない。

スマホに支配された時間を取り戻せる(筆者撮影)
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