信じて期待する。それだけのことです。その力の強さとか、本気度だけが、社員の誠実さや仕事への真摯さ、懸命さみたいなものを引き出していたのではないかと思います。そして、それが組織としての優秀さにつながっていく。
今から11年前。41歳になった僕は、起業から関わった会社が成長することの楽しさも苦しさも味わい尽くして木村石鹸に戻ってきました。
そして、その経験を生かしながら、木村石鹸に足りていなかった経営戦略や制度面などの整備をしました。時代に合わなくなった仕組みを見直し、改めた従来のやり方は多々あります。
ただ、社員を信じて期待するということだけは、変えてはいけないと心に刻んでいます。うわべだけでなく、本気で信じて期待する。これはやってみると、めちゃくちゃ難しいことです。
僕もいまだ、できていないと思うことがよくあります。でも、本気で信じ、期待しなければ、社員も本気でそれに応えようとはしてくれないのです。
コロナ禍以降、売り上げの20%を占めていた中国向けの輸出が大きく落ち込んだり、資材や原料が高騰したりと、経営環境は決してよいとは言えない状況が続いています。でも、僕も、親父と同じように社員を信じ、期待したいと思っています。
信じて期待することが、社員の能力を引き出し、チームとしての強さを生み出す。それによりこの難局も乗り越えていける。僕はそう信じています。
信じ続けてくれて、ありがたかった
そういえば、親父はいつか僕が木村石鹸に帰ってくると信じていました。
僕は、そんなふうに信じられれば信じられるほど、鬱陶しかったわけですが、今になって思えば、信じ続けてもらえたのは、ありがたいことだったのだなと思います。もし、親父が諦めて、木村石鹸の株を外部の誰かに売ったり、譲ったりしていたら、今、僕はここにいなかったわけですから。
今現在、親父はほとんど会社には来なくなりました。持病があるために通院しながらも、釣りをしたり、以前購入した荒地をユンボで工事したりと、日々楽しんでいるようです。
そんな親父に「なぁ、うちの社員がすごいんやで」と熱弁している僕がいるんですから、おかしな話です。
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