木村石鹸(本社・大阪府八尾市)は石鹸や洗剤のメーカーですが、主力商品のひとつにシャンプーとコンディショナーもあります。5年に及ぶ研究の結果、開発に成功した商品は、ダメージヘアや癖毛など、悩みを持つ髪に特化したもの。
小さなメーカーだからこそ実現した、"正直な処方"でつくるヘアケアブランド、その開発と販売の裏側を探ります(本記事は、4代目社長である木村祥一郎さんの著書『くらし 気持ち ピカピカ ちいさな会社のおおらかな経営』より一部を抜粋したものです)。
この記事のシリーズ
【1本目】「仕方なく」家業を継いだ男性に起きた心境の変化
【2本目】木村石鹸「自己申告型給与制」に込めた会社の願い
【3本目】「万人向けでない」と明言のシャンプー人気のなぜ(本記事)
【4本目】木村石鹸「非効率な」固形石鹸づくり再開の物語
【1本目】「仕方なく」家業を継いだ男性に起きた心境の変化
【2本目】木村石鹸「自己申告型給与制」に込めた会社の願い
【3本目】「万人向けでない」と明言のシャンプー人気のなぜ(本記事)
【4本目】木村石鹸「非効率な」固形石鹸づくり再開の物語
プロダクトもプロモーションも、正直に
自社ブランドで大事にしていることは、正直さです。
消費財は、マーケティングの主戦場。あちこちでマーケティング合戦が繰り広げられていて、大きなマーケティング予算を持つ大手企業が圧倒的に有利な市場です。
そのなかで僕らが大手と同じことをやっていて勝てるわけがありません。そもそも競うつもりもなくて、他社がどうであれ、自分たちはどんなスタンスでいたいかを大事にしたい。
そのうえで、「正直さ」は、僕らの現在の立ち位置を明瞭に示す言葉です。
手練手管を使って商品を買わせたり、定期購入に誘導したりが横行している業界なので、真面目に正直にという、あたりまえのことをちゃんとするだけでも共感してくれる人はいます。
たとえば、僕らは商品のよい面だけにフォーカスして語るのではなく、できる限り悪いところも説明するようにしています。石鹸屋だからといって、全面的に石鹸を肯定して、何もかも石鹸は最高!というコミュニケーションはしません。
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