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うちの社員は、ほんまにすごい
「なぁ、うちの社員はすごいんやぞ」
親父がそう自慢してくるたびに、僕は心の中で「こんな地方の小さい会社にすごいやつがいるわけないやん」と小馬鹿にしていました。
親父は石鹸会社の社長です。社員数名。典型的な地方の零細メーカー。社長といっても製造もするし営業もする。いつも作業着を着て、どろどろになるまで働いていました。
僕にはその姿はものすごく格好悪く見えたんです。そういう姿に憧れて、父親と同じ道を歩みたいと思う人もいるのかもしれませんが、僕は逆でした。毎朝スーツを着て出社するお父さんをもつ周りの友達がうらやましかった。
住まいと工場は同じ場所にあり、親父はいつも目の前の工場にいて、石鹸を焚いたり、箱詰めをしたり、工場を修理するのに溶接したり、鉄を切ったりと「いったい何屋なんだろう」と思うくらい、あくせく働いていて。
1975年ごろの工場で撮影された木村社長の写真。幼い木村社長が手にしているのは、1963年発売の衣料用洗剤「ホワイトベアー」(写真:木村石鹸)


















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