新卒社員の「3年後定着率」が高い会社ランキング 定着率が高い会社・低い会社は何が違うのか

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最後に業種別の状況を見ていく。全体の平均は79.5%(2023年4月時点)。業種別(集計対象が10社以上)では、電気・ガス業(93.7%)、医薬品(93.4%)、精密機器(92.9%)などが高い。一方で、証券・商品先物(60.5%)、小売業(64.2%)、サービス業(66.5%)、パルプ・紙(74.2%)、不動産業(74.3%)などは比較的低かった。

しかし、平均値が低い業種にあっても、高い定着率を維持している企業はある。不動産業では、総合不動産大手の三菱地所がトップで定着率100%。人事評価の基準を公開しているだけでなく、評価結果を本人にも公開している。また、業務時間の10%以上を業務外のチャレンジに充てる制度を導入しており、その活動も評価の対象としている。

サービス業では、産業廃棄物処理大手のダイセキがトップでこちらも定着率100%。新規事業ビジネスコンクールを年1回開催し、選考を経たうえで優れたアイデアをプロジェクトとして事業化する取り組みを継続している。

そのほか、小売業では北海道地盤の食品スーパーのダイイチやAOKIホールディングスが定着率100%。鉄鋼では愛知製鋼が94.3%で本ランキングにおける業種トップだった。

ランキング上位企業の特徴

新卒3年後定着率の推移を見ると、2017年4月時点の83.7%(『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2018年版)から、2023年4月時点の79.5%へと、徐々に低下している。背景には、「売り手市場」や転職市場の拡大といった外部環境だけでなく、新卒社員のキャリア感の変化もあるだろう。

一方で、企業側から見れば、こうした早期離職の防止は重大な経営課題の1つだ。本ランキング上位企業の特徴として、労働環境の整備、業界内でのプレゼンス向上のほか、若手の成長に関する取り組みを拡充している企業が多い。例えば、社内外における兼業・副業制度や、社内のポジションを公募する手挙げ制度などの導入が進んでいる。

もし将来的に「転職が当たり前」時代が来たとしても、企業の人材マネジメント力を評価する指標として「新卒3年後定着率」は有用だろう。本ランキングも、就職活動中の学生にとってはよい職場選びに、企業にとっては今後の人事戦略に、引き続き活用いただきたい。

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