「手術中汗を拭いてもらう」外科医が実はいない訳 ドラマと現実ではこんなにも異なっている!

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ドラマでよくあるシーン3 きれいな列をなして行う教授回診

教授を先頭に医者が列を作って患者の病室を診て回る、いわゆる教授回診のシーンは、現実にも存在する。ドラマのようなきれいな列を作る教授回診は見たことがないが、教授回診にはその診療科ごとの特徴や教授のクセが出る。私も学生時代には色々な診療科の教授回診を経験した。

例えば、ある診療科の教授は、回診中は必ず階段を使うので、毎回1階から7階まで全員で階段をのぼらなくてはいけなかった。教育目的で日本語禁止回診をする英語好きの教授がいたり、患者の前で学生にむずかしい質問をして、答えられないと「僕がこいつを教育してちゃんとした医者にするんで安心してください」と言って毎回マウントをとる“マウント教授”がいたりもした。

学生時代は何もわからずにただついて回っていただけなので、教授から質問をされてそれに答えられず、「勉強不足だ」と怒られることはよくあった。それからは心を改めて勉強に努め、今では怒られることはなくなり、私自身が回診の列の先頭に立つこともある。医者になってからは、私もだいぶ改心したな。

心臓マッサージは実は本気でないことが多い

ドラマでよくあるシーン4 患者に心臓マッサージを行う

ドラマでよく見かける、心臓マッサージのシーン。これは、実は本気の心臓マッサージでないことが多い。なぜなら、意識のある人に本気の心臓マッサージをしたら、痛すぎて飛び上がってしまうからだ。マッサージという言葉がモミモミと優しく揉む様子を連想させるが、実際はかなり強い力で胸を上から押さないと、奥にある心臓を動かすことはできない。

実際どれくらいの力で胸を押せばいいかというと、まずスーパーの買い物かごをイメージしてほしい。買い物かごをひっくり返してその中に風船を入れ、かごを上から押して中の風船をへこませることを考えてみよう。かなり強い力を加えて、買い物かご自体をへこませる必要があることがわかると思う。人間の体は買い物かごよりも頑丈にできているので、これより強い力で胸をへこませないと、中にある心臓をへこませることはできないだろう。

心臓マッサージは、心臓が止まってしまった人に対してただちに行う処置である。胸の真ん中にある骨(胸骨)を強く押し込み、その後ろにある心臓を強制的に動かすというものだ。止まった心臓自体に対する治療法だと思われがちだが、実際には少し違う。

心臓マッサージの真なる目的とは、動かなくなった心臓の代わりに、心臓の中にある血液を全身の臓器、特に脳に送り続けることだ。脳に血液が送られないと、脳の細胞が徐々にダメージを受けて、5分もすると細胞が完全に死んでしまうので、心臓マッサージによって血液を心臓から送って時間を稼ぎ、その間に別の方法で心臓の治療をするということなのである。そう、心臓マッサージは治療ではなく時間稼ぎなのだ。

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