タイパやコスパ重視も「美容系医師」増加の"実態" 現役医師が匿名で語る「若手の働き方」のリアル

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若手医師:収入や勤務時間だけを聞けば、そっち(美容医療)に向かっても仕方ないと思う。

ただ、今は過渡期だと思っている。美容医療も実は厳しい世界で、約6000億円程度の市場規模の中でパイを奪い合っていて、医師も営業をしなくてはいけないし、甘い話ばかりではないとも聞く。

授業料などが免除される代わりに、卒業後に僻地で診療する義務のある医師が、その義務をスルーして美容医療で診療するためのノウハウが、SNSで配信されている。

また、奨学金を支給するなどして、地域医療の担い手を確保するための入学者選抜枠、いわゆる「地域枠」で卒業した医師が、卒業後に課される地方での診療義務をどのように回避できるかが、若手の間で話題に上ったりもしている。

きっかけは「大野病院事件」?

中堅医師:話はタイパに戻るけど、私たちが経験してきたような昔の医師像に医師の多くが疑問を持ち、タイパを気にするようになった背景には、福島県の大野病院事件(下記参照)があったのではないかと思う。

■大野病院事件
2004年12月17日、福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた産婦が死亡したことに対して、手術を執刀した産婦人科医が「業務上過失致死罪」と「異状死」の届出義務違反の疑いで2006年2月18日に福島県警に逮捕され、翌月に起訴された。

これまで、それこそ寝食を忘れて診療に没頭し、自分の人生を捧げて患者を治療していたのに、この事件のように医師が逮捕されてしまうことに、徒労感というかガッカリした感じがあったのは間違いない。

(写真:筆者撮影)

それまでは医師としての使命感でやってきたのに、「(医師が逮捕されたら)これまでのようにはやっていられない」「このままでは割に合わない」という感情が芽生えてきた医師が増えてきた。

それなら、ワークライフバランスを重視して、医師として働く時間を生活の中でしっかり区切って、医師という仕事を経済的にも追い求めてもいいのではないかという下地ができたのではないだろうか。

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