箕輪:そう考えると、「(スキマ時間のアルバイトを探せる)短期人材派遣サイト」みたいなのはどうかなと思いますね。こういうシェアワーカー的な労働は、基本的に時間を切り売りするだけだから。これはこれで時代が要請しているビジネスモデルだし、そういうサイトはスキルが身に付くって謳ってるけど……。やっぱり、そればっかりやってると何も積み上がらない。人間関係も発展しづらいから、ずっと時間資本しかないことになるんじゃないかと思います。
「今の自分を大事にする」という落とし穴
けんすう:そういう短期バイトは手っ取り早くお金は稼げるけど、何も溜まらないですね。
箕輪:そうそう。要は、時間を何に替えるのか。お金に替えるのは当たり前だけど、それをしながらも自分のスキルに替えるとか、人間関係に替えるとかしないと。100年くらいしか生きられないのに、その時間を、ずっとお金にしか替えないなんて一番もったいないですよね。それに40代を過ぎて「時間」しか自分の売りものがなかったら、かなりしんどいですよ。
けんすう:たしかに。まさに「未来の自分は今の自分と違う可能性を認識できない(永続性の)勘違い」っていうバイアスによる人生設計ミスに陥りますね。たとえば学生アルバイトで月に40万円くらい稼げるからといって就職しなかった人が、それをずっとキープできなかったみたいなケースがありますけど、これなんかも典型例ですよね。体力も含め、時間資本というものが、自分で思っている以上に目減りすることが20代には想像つかない。永続性の勘違い、いや〜、これは本当にやばい。
あと、3つのバイアスのうち「今の自分の感情にとらわれすぎる」っていうのもありがちだと思います。人は「今の自分」をすごく大事にしちゃうんです。リスクを取れなくなって結局は何もしないという選択肢を選び、可能性をせばめてしまう。「自分を大事にしよう」とはよく言われますけど、あまりにもそれにとらわれすぎると、身動き取れなくなっちゃうんですよね。箕輪さんは逆に異常なくらい、いろんな選択肢を試してると思うんですけど、なんでそれができるんですか。