箕輪:たしかにね。僕はあんまりまじめにがんばらないんだけど、唯一、誕生日とか年末年始に目標を言語化することはまじめに続けてきたんです。それが20代のころはずっと「数字」だったんですよね。「何十万部のヒットを出す」とか「お金をこれくらい稼ぐ」とか。
けんすう:でも今は、あまり数字にこだわらなくなってる?
箕輪:数字の積み上げはもういいかな。「何十万部のヒット」みたいなことを繰り返したところで、(幻冬舎社長の)見城さんは喜ぶだろうけど、俺の幸せは変わらないだろうなって。だからやっぱり、「こういう人間でありたい」とか、「こういう感じの日々でありたい」という「状態」を欲するほうに向いてますね。
目標が単なる数字の線形になる
けんすう:本書では「将来の見積もりミス」の原因として、3つのバイアスというのが挙げられています。1つめは「今の自分の感情にとらわれすぎること」、2つめは「課題を深く考えないゆえの(楽観すぎる)先延ばし」、3つめは「今と未来の自分は違う可能性が認識できない(永続性の)勘違い」です。特に3つめは、若いころはめっちゃありますね。
箕輪:うん、つい若いままの感覚で将来設計しちゃうんですよね。
けんすう:たとえば現時点で「数字を上げたい」と思っていたら、自分が将来にわたってずっとそう思ってるだろうと思い込んでしまう。そうなると、20代で「来年は年収500万円」と思っていたら、「30年後は5000万円だ」みたいに、目標が単なる数字の線形になっちゃうんです。これは将来設計を壮大にミスってるなと思いますね。なぜなら、年齢が上がるにつれて大事なものって変わっていくから。
箕輪:あるある。
けんすう:僕、20代くらいのころに書いた「将来の目標」みたいなメモを見直したことがあるんですけど、「年収2000万円」「Photoshopを使えるようになる」とか書いてあって、「あれ、俺ってPhotoshop使えるようになりたいんだっけ?」と。当時はそういうのが重要度高かったんでしょうけど。