箕輪:めちゃめちゃわかります。僕なんか「『氷結』のロング缶を買うかショート缶を買うかで悩まないようになりたい」って思ってましたね。数十円の差で迷ってる状況を変えたかった。マジでお金なかったんで、そのころは本当に数字にとらわれまくってました。今、思い返すと、あれはいったい何だったんだろうと。
人生で一度は死ぬほど仕事する
けんすう:要は、今、目標としてあるものが、必ずしも将来の自分が欲しているものとはかぎらないんですよね。でもそれは未来になってみないとわからない……なんて身も蓋もない話になっちゃいますけど、じゃあ、今、何をしたらいいのか。若い人たちに向けて、箕輪さんから何かアドバイスあります?
箕輪:うーん。やっぱり、一回死ぬ気で仕事しといたほうがいいですね。今はぜんぜん流行らなくなってる考え方ですけど、これ言わないのも無責任だなと思うようになりました。世の中って結局、特に労働に関しては昔と大して変わってないし、ベーシックインカムなんかも現実的にはまだ先のことだから、一度もがんばらずにゆるく生きてたら、当然のように貧乏でつらい未来になると思うんです。だから、とにかく自分が得意なことや好きなこと――自分的に一番比重をかけられるところに、極端なくらい時間を投じ続けるしかないですよね。
けんすう:たしかに。仕事って福利が大きいですからね。40歳以降は体力的にそんなに働けなくなるうえに、信用や実績といった資産がないと仕事が来なくなっちゃうから、30代前半くらいまでは、そういう資産をがんばってつくらないと。
箕輪:ほんと、そうだと思う。
けんすう:でも、これを言うとネットですごく嫌われるんですよ。
箕輪:そう、嫌われるんだけど、やっぱり現実問題として間違いないと思う。自分のまわりを見ても、同世代でいい感じで文化的なノイズも入れながら楽しく仕事してる人って、20代のころにちょっとバランスを欠いて働いてた人なんですよ。世間的には「仕事に忙殺されず、本などを読みながら豊かに生きよ」みたいな本(『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』)がベストセラーになっていて、みんながそこに共感するのも、「忙しすぎること」が社会的な問題であることもわかるんだけど、20代初期からワークライフバランスを取って、その調子でずっと働くって、40代以降はかなりきついはずですよ。