DV被害の妻が息子の不登校で目覚めた新たな道 母親が精神的自立を果たして子どもが変わった

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物事が動くときは目に見えない後押しがあるものです。美香子さんはある国家資格の情報に目が留まります。

「公認心理師の資格です。私はこれまで高齢者の相談員やケアマネジャーをしていて、人の話を聴いたり、相談にのったりしていました。その仕事をもっと深めて、今度は親子関係をサポートする側に回りたいと思ったんです」

自分のことを優先して考えるようになった美香子さん。家庭のことを大切に思いながらも、この資格の勉強に夢中になります。そんな様子を見た子どもたちは応援してくれるようになったそうです。

「でも、主人は私が勉強することを嫌がるんです。テレビを大音量にして見るので音を小さくしてほしいと言うと、『オレの家だ!』と言われます。なので、主人が寝た後にリビングで勉強していました。すると息子たちがお茶を入れてくれたり、テキストを見て問題を出してくれるようになったんです」

2年後。努力が実り、美香子さんはみごと国家試験に合格します。

「私、離婚したい」と宣言

美香子さんが分岐点を経た今、夫婦の関係はどう変わったのでしょうか。

「主人はすっかり意気消沈しています。『こんな状態が続くなら、私、いつでも離婚する』とはっきり言ったからです。今では攻撃してくることもありません。『おれは離婚するつもりはない』と言われましたが、私は自分の気持ちを伝えたので、今はそれで十分です。ウォーキングをしたり、ひとりで旅行に出かけたり、自分のやりたいことをするようになりました」

「何かを言えば主人からは怒りで返ってくる。それが恐怖でした。私自身が早いうちから主人に愛情がなくなって、それが負い目になっていつも自分の感情を押し殺していました」

これまでのことを冷静に振り返る美香子さん。夫婦仲が悪いと子どもの不安感や情緒不安定を引き起こし、学校に行く意欲を低下させます。親の関係性は子どもの心に大きな影響を与えるのです。

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