DV被害の妻が息子の不登校で目覚めた新たな道 母親が精神的自立を果たして子どもが変わった

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そんな様子を3人の子どもたちはどのように見ていたのでしょうか。

「子どもたちは主人の実態を知りませんから、私の対応の悪さが主人の機嫌を悪くすると思っていたようです。実際、『お母さんがもっと気をつければいい』と言われたこともあります」

「子どもたちが小さな頃から、節約のため、出かけるときはいつもおにぎりを作り、コンビニでジュースを買いたいと言ってもダメと言っていました。だから私はいつも“ケチなお母さん”だったんです」

「でも、主人はお金を気にせず子どもたちの喜ぶお菓子を買い与えて、いいお父さんを演じるんです。私は主人のためにがんばっているのに、子どもたちは父親の味方になっていって……」

そんな家に居続けなければならないのでしょうか。私は、「実家のご両親の力を借りられませんか?」と聞きました。

「1カ月ほど実家に身を寄せましたが、私の親も、『子どもを置いたまま出てきたらダメじゃない。あなたの対応にも問題があるんじゃない? ちゃんと話し合いなさい』って。どこにも居場所がなかったですね」

自分の親にも見放され、孤立無援の美香子さん。この頃が美香子さんにとって八方塞がりのような、いちばん辛い時期だったと思います。

「これからは自分のことを考えよう」

そんな苦しい数年を経たある日、また出来事が起こります。

「ずっと私が家計を管理していたんですが、ある日、主人から『通帳とカードを返せ』と言われました。これからは自分が管理するからと。がんばって借金を返して、これからやっと蓄えられると思っていたので、悔しくて悲しくて……」

家を飛び出した美香子さん。行く場所もなく、時々遊びに行っては話を聞いてもらっていた知人のところに駆け込みました。

「どうにもならない思いを知人に伝えると『おつかれさま。あなたの役割が今日終わったね』って言ってくれたんです」

「『3人の子どもが大きくなるまでは、あなたがお金を管理する必要があったんだよ。でも、その役割が今日で終わった。よくがんばったね。元気な男の子3人が育ったね』って。それを聞いて、私、これまでとは違う涙が出てきて。ああ、これからは自分のことを考えていいんだって」

その頃、16歳になっていた三男さんは、美香子さんの体調不良のときには家事を手伝い、落ち込んでいると笑わせて元気づけようとしたり、自分もがんばらなきゃとドリルを買って勉強をしたり、学校には行けないものの美香子さんを心身ともに支える存在と成長されていました。

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