中国はアベノミクス相場の致命傷になるのか 日経平均が高値を更新する可能性は消えた?

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一方、投資家も油断していたかも知れない。

公的年金と日銀の株式買いによる「需給のつっかえ棒」が入り、つい最近まで、いかにも「下げにくい」様相を呈していた日本株は、つい3週間ほど前は日経平均株価で2万円を超えて上値をうかがっていた。「まだ上昇の余地があるだろうし、大きく下げることはないのではないか」と思っていた投資家が少なくなかったのではないか。

油断の分だけ膨らんだポジションやレバレッジもあったろうから、想定を超える下落に対する、損切り売りが相当規模で出るのはやむを得ない。

さて、投資にあっても、人生にあっても、他人が油断していると見える時に最も気を付けるべきは、実は「自分の油断」である場合が多い。
 そう思って、本連載の前回の拙文「それでもバブルはまだ膨らみ続ける」を読み直すと、筆者は、ギリシャ、中国の問題について、「これらのうち、筆者は外国の2つの問題は当面クリアできると考えている」と書いている。筆者は、「チャイナリスク」を過小評価していたのだろうか。

中国経済は「詰んでいる」

上海総合指数に表れた株価急落に対して、中国政府は矢継ぎ早に対策を繰り出してきたが、少なくとも株価を大きく引き上げるような効果はなかった。1990年代の日本の経験から言っても、株価のバブル崩壊に対して、買い支えや空売り規制など、この種の「株価対策」は効果がない。不動産価格の低迷に加えて、株価が大きく下げて、中国の資産価格におけるバブル崩壊が本格的に進行しつつあることは、どうやら間違いなさそうだ。

バブル崩壊は、長期的には金融緩和政策で症状の軽減と回復を図ることができるが、短期的には、資産価格が下げ過ぎを確認するところまで、下げるに任せるしかない。

中国経済のジレンマが端的に表れているのは、元の為替レートの問題だ。フローの経済活動を立て直すためには、金融緩和と通貨安が必要だ。

しかし、他方で、元安に誘導しようとすると、元為替の基準レート引き下げに対する市場の反応を見て分かる通り、かつては元高のメリットも見込んで中国に流入していた外国資本は先を争って退避を加速するはずだ。これは、実物投資、証券投資両面で短期的には大きなマイナス効果をもたらす公算が大きい。

つまり、目下、元は安くても、高くても、どちらも都合が悪く、中国経済は言わば「詰んでいる」。

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