ギリシャ、中国は「当面」心配ない
本連載は「6週間に1度」のゆったりしたペースで筆者に回ってくるが、前回の執筆から今回までの間は話題が満載だった。ギリシャの債務問題、中国株の急落、安全保障法制、それに東芝の「不適切会計」(大手メディアはまだ「粉飾」という言葉を使わない)と、何れも投資家が気に懸けるに足る大きな問題だった。
これらのうち、筆者は外国の2つの問題は当面クリアできると考えている。
欧州を舞台に、頑固な優等生(ドイツ)と裏口入学した劣等生(ギリシャ)がチキンゲームを戦う「ギリシャ債務劇場」は、脚本を書きながら進行する映画を観るような面白さがあるが、債権国・債務国にとって痛み分け的な「落とし所」のある問題だ。長期的には、ギリシャのような国に単一通貨を適用することに無理があるのだが、当面、日本の投資家にとって、この問題は致命傷にならないだろう。
中国株の急落は、昨年来の株価の無理な高騰の反動であるが、不動産も含んだ、より大きな資産価格下落の一環に見える。こちらは隣国日本にとってもそれなりに大事だが、1980年代の日本がそうだったように中国にはまだ高めの成長率があり、また、バブルにはそれなりに余韻がある。「爆買い」も急に衰えることはないだろう。
加えて、中国の金融は国際的にオープンではないので、不良債権問題が海外金融機関に波及する恐れが小さい。ただし、中期的に成長率の低下ペースは予想外に速いかも知れない。
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