あきらめない 村木厚子著
いわゆる郵便不正事件で大阪地検に無実の罪で逮捕された著者(当時、厚労省雇用均等・児童家庭局長)の半生記。前半は公務員としての体験談だが、特に二女を育てながら極限まで仕事をやり抜くキャリア官僚としての苦労がハイライトとなる。とはいえ、何とかなる、どんなことも無駄ではないという肩から力を抜いた姿勢は、働く女性たちに大いに参考になろう。いい意味での開き直りの姿勢、自然体の生き方の具体例がさまざまに語られ、自分をよく見せようなどと感じさせる箇所が見当たらないのも好感が持てる。
セクハラ防止のための立法、障害者自立支援法への取り組みなど行政面での成果も素直に読めて説得的である。逮捕と164日の拘留を家族、友人、同僚に支えられて頑張り抜いた顛末も興味深い。取調室や拘置所でのささいな観察や巧まざるユーモアもさることながら、苦難が物事と人間を見る目を養ったように見えるところは印象的だ。(純)
日経BP社 1470円
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