ほぼ「五公五民」の国民負担率は本当に高いのか OECD加盟国には「負担率86.8%」という国もある

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それは「国債」といって、国が借金をしているからです。こうした借金をして将来返さなければならない部分の「収入」は、返す必要がない税金と違って、国の財政にとっては「赤字」部分になります。

この赤字部分としての負担も潜在的にはあるとしてかけ合わせたものが、この数値になります。

フランスの「国民負担率」は、なんと68.0%

国民負担率について、財務省のホームページには詳細なデータを示した資料も掲載されています。これによれば、国民負担は「国税」と「地方税」と「社会保障負担」を合計して計算されています。そして、その推移をみると、次のグラフのように、年々上昇していることもわかります。

(出所:『教養としての「税金」』より)

※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

では、諸外国ではどうなのでしょうか。これも財務省ホームページに、続けてデータがあります。次のグラフを参照してください。

(出所:『教養としての「税金」』より)

このグラフによると、68.0%もあるフランスよりはまだ低く、一方でいまでも33.9%しかないアメリカよりは高い国民負担がある。これが日本の現状であることがわかります。

教養としての「税金」
『教養としての「税金」』(日本実業出版社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

もっともOECD加盟36カ国のデータによれば、ルクセンブルクのような86.8%にも上る負担率のある国も存在します。

このように諸外国との比較をすることで、客観的にみて日本の負担率は高いのか低いのかがわかります。

といっても、それぞれの国ごとに社会のあり方や文化や歴史も違えば、社会基盤となっている法制度にも違うところがあります。それぞれの国ごとに、抱える問題にも違いがあります。

単純比較をしてよいかの議論をすることは、むずかしいのです。

ただし、少子高齢化が加速する日本のなかでみたときに、国民負担率が上がり続けていることは、厳然とした事実です。

木山 泰嗣 青山学院大学法学部教授(税法)

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きやま ひろつぐ / Hirotsugu Kiyama

1974年横浜生まれ。上智大学法学部法律学科を卒業後、2001年に旧司法試験に合格し、2003年に弁護士登録(第二東京弁護士会)。2015年4月から現職(大学教員に転身し、教育及び研究に専念)。著書に、『小説で読む民事訴訟法』(法学書院)、『憲法がしゃべった。』(すばる舎)、『反論する技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがあり、単著の合計は本書で58冊。

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