<若者よ目を覚ませ!>各党の手取り増加策は的外れ。若年低所得者の手取りは「社会保険料の税方式化」と「所得補給制度」でこそ本当に増える

昨秋の衆議院選挙で「手取りを増やす」政策が若者にバズった。このこともあり、各党は、所得税や消費税の減税を主張している。消費がいまだに停滞している現時点において、手取り額の増大がもたらす消費の成長による経済の活性化は、重要である。消費が成長しなければ、投資も本格的に伸びないからだ。
では、効果的に経済を活性化させるためには誰の手取りを増やすべきなのだろうか。
消費性向が下がったために減税の乗数効果(景気拡大への効果)は下がったと言われるようになって久しいが、今でも低所得者は手取り増大の大部分を消費する。このため、低所得者の手取り額を増大させることが、中高所得者への歳入中立的な増税で賄うとしても、日本の個人消費を大きく拡大して、投資を促し、経済を活性化させる。
可処分所得での貧困率が極めて高い日本
実は、日本の可処分所得で測った貧困率は極めて高いので、低所得者の手取り額を増大し、経済を活性化する余地は大きい。本稿の目的は、そのことを示し、政策として誰の手取りをどのように上げるべきかを明らかにすることである。
可処分所得で測った現役(18~65歳)人口の相対的貧困率の統計では、日本は、OECD(経済協力開発機構)加盟先進20カ国の中で3番目に貧困率が高い国である。日本より高い国は、アメリカと、パレスチナ難民が多く住むイスラエルのみである。

この相対的貧困率とは、相対的貧困者数の全国民に占める割合である。一方、相対的貧困者とは、全国民の1人あたり可処分所得を低い方から順に並べた場合の中央値の、50%未満の所得で生活している人々のことである。
例えば国民が1億人いれば、所得の低い順に並べて5000万人目の人の所得が、所得の中央値である。それが仮に400万円ならば、その半分の200万円未満の人々がその国の相対的貧困者である。もし、200万円未満の所得を得ている人が1000万人いれば、1億人の10%だから、相対的貧困率は10%になる。
実は、可処分所得で測った日本の相対的貧困率の高順位の原因は、市場所得(税や社会保険料込みで、国からの移転所得抜きの所得)の不平等にあるのではない。原因は、低所得者が直面している税と社会保険料の負担額(以下、個人負担)の高さと、低所得者に対する低い給付にある。
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