深圳男児死亡事件「暴漢から身を守る」唯一の方法 「安全神話」が揺らいだ中国以外でも警戒が必要

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低学年の児童への心理的な負担を考慮する必要があったが、教師の意見も聞きながら、銃器対策について解説をした。

このように、現地の情勢に対応した安全教育や訓練も不可欠だろう。

前述の通り、「ローンオフェンダー型」犯罪は、事前対策を取って完全に防ぐことは難しい。中国に限らず、世界中どこでも発生し得る(たとえば昨年12月にパリの凱旋門付近で観光客がハンマーで殴りかかられた事件も発生している)。

もし、街中で凶器を持った人物に遭遇してしまったらどうしたらよいのか。筆者が安全講習でレクチャーしているのは以下のことだ。

凶器を振りかざす人物に遭遇したとき、最も大切なのは初動だ。最優先すべきことは、第一撃を防ぐこと。その際に、攻撃の軌道から自分の体を外すことが重要なのだ。

どうすればいいかというと、モノで犯人の凶器を叩くこと。モノというのは、通学・通勤途中なら、手にしたカバンや傘などが有効だろう。

犯人に遭遇した瞬間に絶対してはいけないこと

逆に、凶器を持った人物に遭遇した瞬間に絶対にしてはいけないことが2つある。

1つ目は、声をあげること。咄嗟に大きな声を上げてしまうかもしれないが、そうすれば犯人を刺激し、こちらに注意を向けてしまうことになる。

2つ目は、背中を向けて逃げること。犯人の攻撃からも目をそらすことになり、背後から襲われてしまえば、初動で最も重要な防御をすることもできなくなる。

凶器が届く範囲にいる場合は、犯人のほうを見ながら後ずさりして常に犯人を視界にとどめておき、相手の攻撃範囲から出て距離を取ることができたら、または犯人が背中を見せたら、そのタイミングで逆方向に全速力で走って逃げることだ。

これらの対処法をしっかり押さえて、自分の命を守る行動をとっていただきたい。今後はハード面での対策だけでなく、生徒や保護者も参加する訓練や講話といったソフト面での安全教育にも、力を注ぐべきだろう。

松丸 俊彦 セキュリティコンサルタント

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まつまる としひこ / Toshihiko Matsumaru

警視庁に23年在籍。2002年日韓共催W杯サッカー大会においてロンドン警視庁の特別捜査官と共にフーリガン対策に従事。在南アフリカ日本大使館に領事として3年間勤務。南アフリカ全9州の警察本部長と個別に面会して日本大使館と現地警察との連絡体制を確立し、2010年南アフリカW杯サッカー大会における邦人援護計画を作成。警視庁復帰後、主に防諜対策(カウンターインテリジェンス)及び在京大使館のセキュリティアドバイザーを担当。全155大使館を延べ1,200回以上訪問し、大使館及び大使公邸に対するセキュリティアセスメント(警備診断)、特命全権大使を始めとする外交官に対するセキュリティブリーフィングを実施した。

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