深圳男児死亡事件「暴漢から身を守る」唯一の方法 「安全神話」が揺らいだ中国以外でも警戒が必要

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今回の事件に限って言うと、事件当日が「柳条湖事件」の日と重なっており、関連を推測する向きもあるようだ。「柳条湖事件」とは、1931年に、関東軍が満州鉄道の線路を爆破し、満州事変に突入するきっかけとなった事件である。

こうした「記念日」は、朝から反日色の強い番組が放送される。ただ、日本政府の関係者や要人ではなく、非常に弱い立場にある小学生が狙われていることから、歴史的経緯を踏まえた攻撃であると言い切ることは現段階では難しい。

在中国日本国大使館
事件を受けて、在中国日本国大使館は微博(ウェイボー)にお悔やみのコメントを投稿した(画像:在中国日本国大使館公式アカウントより)

すると、今回の事件も、本年6月の江蘇省蘇州での事件も、外形的な観察からの判断ではあるものの、「ローンオフェンダー(ローンウルフ)型」犯罪(テロ組織に属さない個人による単独のテロ行為)だと見ることができる。

このタイプの犯罪は、散発的で、探知や予防が難しいことが特徴だ。

「拠点」ではなく、その「経路」の安全が問われる

こうした事件に、どう対応すべきだろうか。

私は、警視庁時代、在南アフリカ日本大使館に警備対策官兼領事として勤務していたが、その際に、ヨハネスブルグ日本人学校で在校生と先生に安全講話を行っていた。

既に知られているかもしれないが、南アフリカは治安がいいとは決して言えない。殺人や強盗、カージャックは日常茶飯事で、銃を使った犯罪も多い。そうした社会状況を反映して、日本人学校も、校舎や敷地内の警備はよく整備されていた。

ソフト面でも、緊急連絡網や危機管理マニュアルの整備、安全講話や避難訓練の実施などがなされている。

過去に別の国の日本人学校で勤務していたという、とある教師に聞いた話によると、他国の日本人学校でも同じような状況らしい。つまり、施設を中心とする警備対策はすでにしっかりなされている。

今回の中国における邦人への襲撃は、学校そのもので起きたわけではなく、通学途上での事件だった。6月の事件もそうだ。つまり、「拠点」ではなく、その「経路」の安全が問われていると考えてよい。スクールバスの警備強化など施設外での物理的な対策強化が、喫緊の課題ということになる。

また南アフリカに話を戻すと、銃器使用犯罪が多い同国において、銃声のような音がした場合の逃げ方・隠れ方や、銃器を突き付けられた状況での対処法なども学ぶべきだと私は考えていた。

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