瀬戸際のオリンパス、巨額粉飾の全貌、上場維持なら日本の株式市場に禍根


 だが、ここにオリンパスの勝機がある。判断に客観的な基準はなく、東証の裁量による部分が大きいからだ。過去にも、06年にライブドアが50億円の粉飾を行い上場廃止となった一方、190億円の不正利益を計上した日興コーディアルグループは、課徴金処分で済まされた。

東証だけでなく、金融庁や東京地検特捜部の意向も働く。その金融庁は「事態の沈静化を図り、課徴金処分で済ませようと動いている」(大手監査法人幹部)。また、「経済産業省や厚生労働省も、上場廃止や外資による買収などは、絶対させない意向だ」(外資系銀行幹部)。官主導の護送船団方式による“救済”の道筋が、用意されつつある。

事件が報道されて以降も、実業への影響は軽微にとどまっている。業界標準となっている内視鏡の地位は揺るぎないうえ、「お荷物」といわれたデジタルカメラ事業も11年度に入り黒字化。「タイの洪水でライバル企業が被災したこともあり、オリンパスがシェアを伸ばしている」(BCNの道越一郎アナリスト)。

「(第三者委員会の報告書で)反社会的勢力の関与はないとされたことで、オリンパスの安泰は約束された。銀行が気にしているのはこの点だけ。反社がかかわっていたら融資を引き揚げただろうが、それもなくなった」(前出の外資系銀行幹部)

高山修一社長は11月半ばに開いた社員向けの説明会の場で「何でも聞いてください」と余裕の表情で対応した。冗談も飛ばすなど饒舌で、「社内では上場廃止はまずないだろうと見ている」(オリンパス社員)。

オリンパスは巨額の不正会計を犯し、十分な贖罪なしに生き永らえるのか。上場廃止処分もなく、課徴金で済まされれば、日本の株式市場に禍根を残すこととなる。

オリンパスの業績予想、会社概要はこちら

[+画面クリックで詳細チャートを表示 <会員登録(無料)が必要です>]


(伊藤崇浩、桑原幸作 撮影:尾形文繁、今井康一 =週刊東洋経済2011年12月17日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 湯浅卓「トランプ政権の真実」
  • 埼玉のナゾ
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
頭脳争奪<br>中国が仕掛ける大学戦争

国の未来を左右するのは優れた頭脳。大国化した中国は今、その受け皿となる世界トップレベルの大学をつくることに驀進中だ。1つの象徴が深圳(しんせん)の南方科技大学。教育強国となった中国の戦略と、受けて立つ日本の危機感が浮き彫りに。