瀬戸際のオリンパス、巨額粉飾の全貌、上場維持なら日本の株式市場に禍根
また、もう一つの国内ルートでは、売上高6億円の医療廃棄物処理会社アルティスなど、横尾氏とその仲間が代表を務めるベンチャー企業3社を計732億円で買収した。
買収関連費用を装って流したこれらの資金が損失穴埋めに充当され、11年3月にすべての含み損が解消したとみられている。98年のスキーム開始から数えても、優に10年を超える歳月が経っていた。
適正意見出した監査人 株主代表訴訟におびえる
今回の事件は、英国人のマイケル・ウッドフォード氏が10月に社長を解任された後、社外に告発を始め露呈した。それがなければ、永久に闇に葬られていた可能性もある。なぜ、発覚を免れてきたのか。
取締役会や監査役など、社内の統治体制の機能不全とともに、責任が問われるのが監査法人だ。
オリンパスで74年から09年6月まで、35年にわたり監査業務を担当してきたのは、国内大手のあずさ監査法人だった。
実は同法人は、巨額買収が行われた09年3月期の監査において、その買収の内容に疑問を呈している。国内3社の買収で生じた多額ののれんについて減損の必要性を指摘したほか、ジャイラス買収に関しM&A助言会社に支払った600億円超の報酬についても、その「正当性、合理性に疑問がある」と意見していた。
08年12月にオリンパスの山田専務(当時)と議論を行ったのを皮切りに、菊川氏などと、翌年5月まで、幾度となく協議を重ねている。