瀬戸際のオリンパス、巨額粉飾の全貌、上場維持なら日本の株式市場に禍根

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 金融庁にも、とががある。『週刊東洋経済』が11月26日号で報じたように、同庁はオリンパスが外資系銀行の金融商品を購入し有価証券の損失を簿外に飛ばしていたことを、99年の段階で把握していた。だが、あくまで銀行法の違反行為を摘発する立場のため、違法商品の購入者側には目をつぶった経緯がある。

関係者各者がそれぞれの事情や動機にとらわれ、不正摘発の声を上げなかった今回の問題。その発覚が、しがらみのない外国人の元社長の告発によるものであったことは、事件の本質を象徴的に物語っている。

群がる海外ファンド ソニー、パナソニックの名も

「経営中心部が腐っていた」「サラリーマン根性の集大成」--第三者委員会から、痛烈な批判を浴びせられたオリンパス。その代償は大きい。株価は一時の半値に下落。決算訂正後の自己資本比率は10%前後にまで低下する予定で、他社からの資本受け入れも模索せざるをえない。

「中国や韓国のファンドが食指を伸ばしている。電話がひっきりなしですよ」。アジア系の顧客を多く持つ企業コンサルタントはそう語る。

オリンパス同様、内視鏡を扱う富士フイルムHDやHOYA、また米GEの名も挙がる。さらに、ソニー、パナソニックまでもが専門チームを立ち上げ、買収をうかがっているという。富士フイルムHDの古森重隆社長は「とやかく言うのは時期尚早」と明言を避ける。だが、世界シェア7割の内視鏡を擁する優良企業を、放っておくわけがない。

さらなる脅威が、株主による損害賠償請求だ。粉飾決算を行っていた西武鉄道に対し、今年9月に初めて最高裁判決が下された。賠償額は株価の下落幅により算定され、オリンパスの場合、最大で2000億円規模ともいわれる。

上場廃止のリスクもある。上場維持の最低条件である四半期報告書は期限内に提出したが、提出後も虚偽記載について「影響の重大性」が審査され、維持・廃止の判断が下される。

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