家族でヒヨコを育て、時には「丸焼き」にする生活 住宅街にある自宅の庭を活用してヒヨコを飼育
生き物は宅配では届けてもらえず、自分で運送会社に受け取りに行くシステムになっている。買ったものは自力で運ぶ。運べないものはなるべく買わない、というのが服部家のモットーだ。いつものように、父と子が自転車で出発した。
我が家にヒヨコたちが到着した。段ボールの中から、ヒヨコたちがピィピィと鳴きながら動き回っている音がする。
生後1週間のヒヨコはまだ体温調節がうまくできないので、湯たんぽを入れたダンボール箱の中で飼う。ダンボールの下には、服部家では禁断の電気カーペットまで敷かれ、そこだけポッカポカ。ヒヨコたちは、服部家のしもやけの子供たちよりも手厚くもてなされた。
ヒヨコのいがぐり頭から真新しい命の匂いがする。ヒヨコの購入に際して、あんなにマイナスなことを言うべきでなかったと反省。
3月の冷たい雨が降り、寒さにプルプルと震えているヒナもいたので夜中も湯たんぽを交換した。子供たちは庭に行ってヒヨコが食べそうなものを探している。玄次郎はスダジイの実を拾ってきて、ミルサーにかけてエサを作った。「これ、食うかな? あ、食べた!」。生き物を飼うと、子供たちが命のために何かをしたいと本能で働くようになる。
静まり返るヒヨコハウス
ヒヨコはよく動き、よく食べ、よくフンをする。おがくずの代わりに敷いた新聞紙を細かくちぎったものを脚で後ろへ蹴っては、エサを探すしぐさをしたり、ニャー! とおどすとパッと頭から物陰にもぐったりする。
夜7時になるとヒヨコハウスはピタリと静まり返る。あまりにも静かなので、 そっと箱の隙間からのぞきこむと、ヒヨコたちは酔っぱらいのようにバッタリ倒れてぐうぐう寝ている。
次の日、箱から元気に飛び降りてくるヒヨコは、ひと回り大きくなって羽も伸びている。その成長の速さは、不気味なほどだった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら