「シカを家族で解体」横浜の住宅街で野性的生活 都会の住宅街でも自分の力で暮らす家族の日常
住宅街の中にあるゲタの家
どうにか住み慣れた横浜の市内で良い物件はないだろうか。できれば中古戸建てを購入して、好きなように直しながら住みたいと思ったのは、子どもが3人になって数年経ってからのことだった。
中古物件でさえ、この辺りに住むには驚くほどのお金がかかる。私たちが不動産屋に提示した予算は3000万円以下だったので、鼻で笑われ(たように感じ)、 次々と難がある物件を紹介された。
不動産屋の元気なお兄さん、Oクンが連れて行ってくれたのは、平屋から徒歩10分ほど離れた、丘の上の住宅街だった。
丘の斜面に、古家が4本足で乗っかっていた。ベランダの鉄のハシゴ階段をカン、カン、カンと降りてうっそうとした斜面に立つと、4本のコンクリートの柱が家の基礎を支えていることが分かった。基礎の部分と斜面の間には人が背をかがめて歩けるくらいの空洞がある。「この家、浮いてるよー?」。こんなあぶなっかしい家に住む人いるの、という気持ちで私は嘲(わら)った。
ところが文祥は、傾斜地ではあるけれど、自由に使える80坪の土地(しかも宅地ではないのでタダ)がついていることに魅力を感じたようだ。購入を前提で、早速子供たちと泊まりに行ったりして盛り上がっている。まさか、いかにも売れ残っていたふうの、この問題物件に住むことになるのだろうか?
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