家族でヒヨコを育て、時には「丸焼き」にする生活 住宅街にある自宅の庭を活用してヒヨコを飼育

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(イラスト:『はっとりさんちの野性な毎日』より)

あっという間に、丸っこいヒヨコ時代は去り、フワフワの羽毛に濃い茶色の羽根が混ざってくる。ボサボサの中途半端な姿はおせじにも可愛くないが、大人の姿になる一歩手前で、ちょっと澄ましてみたり、やんちゃなことをしている様子は中学生のようで、ヒトもニワトリも変わらないなぁと思う。

ヒナたちがすくすくと育っている間に、家の下のスペースではトントントン、ダダダダ……と文祥によるニワトリ小屋の建設が進んでいた。

ニワトリと暮らす毎日

絵本のようなのどかな光景にわくわくして、吞気に写真など撮っていられたのは、ほんのいっときのことだった。

ニワトリは、台所から出る野菜くず、貝がら、鹿の雑肉や内臓などの生ゴミをきれいに平らげてくれる。残すのはタマネギの皮くらい。とくに肉類には目がなく、肉のかけらを見つけるとガシッとくわえて小さなティラノサウルスのような姿で走り去っていく(けっこう足が速い)。無我夢中で鹿の脳味噌などをついばむ顔は、狂気にとりつかれた老婆のようだ。

ついに、若鶏たちは残飯では足りずに、庭に生えているものを片っ端からつつきはじめた。あっという間に育てていた野菜や花が丸裸になった。そのうえ柵の上に飛び乗ったり、狭いところをくぐったりして、どこかに出かけてしまう。なんだか庭が静かだと思うと、決まって隣家の敷地をうろついているのだった。

子供たちが金網を越えたり斜面をすべり下りたりして回収する。ときどき行方不明になって戻ってこない者もいて、若鶏に振り回される日々が続いた。

活発に動く若鶏たちも、日没の時間に間に合うように小屋に戻ってくる。横一列に並んで座り、丸くふくらんだ鶏たちは、昼間の騒ぎなどなかったように黒い瞳で宙を見つめ、静かに眠りにつこうとしている。

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