その接待、1万円が「経費で落ちるか否か」の分岐点 「2024年度税制改正」を踏まえた経理上の留意点

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(3)接待飲食費の50%損金算入特例

飲食費の金額のうち50%相当額は、損金に算入できるという特例についても確認しましょう。

こちらは資本金100億円以下の法人に適用される特例です。得意先等との飲食費について、帳簿書類に所定事項を記載している場合に、50%相当額を損金に算入するというものです。

資本金1億円以下の中小法人であれば、年間800万円の定額控除限度額の特例か、この飲食費の額の50%相当額の損金算入のいずれかの特例を選択適用することができます。

年間の飲食費の金額が800万円を超えて1600万円近くになる場合は、年間800万円の定額控除限度額を採用するのか、もしくは50%損金算入を採用するのかを判断する必要が生まれます。

(4)1万円基準の計算方法

次に、交際費等から除かれる1万円基準の飲食費の計算について確認しましょう。まず、1人あたりの飲食費が1万円以下かどうかは、飲食費として支出した金額の総額を、その飲食等に参加した人数で割った金額で判定します。

飲食費の総額÷飲食等に参加した人数=1人あたりの飲食費

交際費等から除かれるのは、1人あたりの金額が1万円以下となる飲食費に限られます。1人あたり1万円を超える場合は、その超えた部分だけが交際費等に該当するのではなく、1万円を超えた飲食費全体が交際費等に該当することに留意しましょう。

支払先が「インボイス発行事業者」でない場合

(5)消費税の経理方法とインボイスの影響

自社の消費税の経理処理が税抜経理か税込経理かにより、同じ飲食代であっても1万円基準が適用できるかどうかが変わります。

税抜経理を採用している場合には消費税を含めない金額、税込経理を採用している場合には消費税を含めた金額で、1万円以下かどうかを確認します。

税抜経理を採用しており、飲食費の支払先がインボイス発行事業者でない場合や、インボイスの保存ができない場合には、その支払金額から消費税の金額を区分して分けることなく、1人あたりの支払総額で1万円以下かどうかを判断することになります。

ただし、2026年9月30日までは、消費税額の80%を控除できる経過措置により、税抜金額に消費税額×20%を加えた金額で判断することになります。税込経理・税抜経理の経理方法、税込飲食費やインボイス保存の有無別に、1万円基準の判定内容を図表5にまとめています。

(出所:『企業実務7月号』より)

税抜経理を採用している法人の場合、飲食費の支払いに関するインボイスの保存がない場合であっても、1人あたり税込飲食費が1万784円以下であれば1万円基準の対象となります。

次ページ対象となるのは「2024年4月1日以降」の飲食費のみ
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