日本の核武装が「どう考えても無理」な具体的根拠 核兵器の開発は「気合でできる」ものではない

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原潜とほぼ同じ性能で、1年中、水中に潜っていられるそうりゅう型の潜水艦を三菱重工と川崎重工でつくっている状況で、それをお払い箱にしてまで原潜をつくるメリットがないのです。

核武装の意図を表明した瞬間、日常生活が破綻する

結局、日本の核兵器開発はがんじがらめの状況になっており、日本は核武装できないようになっているというのが現状です。

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核兵器開発の問題はメディアのテーマにはよく上がりますが、少し論証していけば、このようにすぐに詰まってしまい、最終的には「それを気合でやるんだ!」という話で終わりになってしまいます。

当然ながら、核兵器開発は気合でできるようなものではありません。

それから、重要なポイントを忘れてはいけません。日本は神風特別攻撃隊をつくった国です。民族の性質は、80年や100年そこらでは変わりません。そんな国に核兵器を持たせたら何をやるかわからないとアメリカは考えています。アングロ・サクソンの国はそういう考えの下で、絶対にドイツと日本には核兵器を持たせないのです。

つまり、根本的には信用していないのです。国家という存在は本来そういうものです。そうでなければ、とっくに世界連邦はできており、世界に平和がやってきているはずです。

結局、日本に核武装は必要ないとともに、政治的・物理的にもできないのです。そもそも日米原子力協定があるので、核武装をした瞬間に、あるいは核武装の意図を表明した瞬間に、日本の原発のウランは全部アメリカに回収されてしまうでしょう。その瞬間に、日本は多くのエネルギーを失い、現在の生活が維持できなくなってしまうのです。

佐藤 優 作家・元外務省主任分析官

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さとう まさる / Masaru Sato

1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了。

2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。2006年に『自壊する帝国』(新潮社)で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『読書の技法』(東洋経済新報社)、『獄中記』(岩波現代文庫)、『人に強くなる極意』(青春新書インテリジェンス)、『いま生きる「資本論」』(新潮社)、『宗教改革の物語』(角川書店)など多数の著書がある。

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